
- クラウド電話「MOT/TEL」などのMOTシリーズを提供する株式会社バルテックが、10月22日に発表しました。第三者からの不正アクセスにより、同社が保有するお客様情報の流出とみなされる事実を確認したとしています。
- 流出の原因は「PHPの脆弱性を標的としたサイバー攻撃」と書かれています。PHPは、Webサイトやクラウドサービスを動かすプログラムの言語です。どの脆弱性が使われたのかは、告知には書かれていません。
- MOT/HG(MOT/Cloud)、MOT勤怠管理、MOT経費精算、WEB予約、POSシステム全般など、20を超えるサービスが止まっています。復旧の見込みは最短で10月26日(月)中で、遅れる可能性もあるとしています。
- 影響の範囲は調査中です。利用している会社は、公式の続報を待ちながら、止まっている業務の代わりの手段を決めておきましょう。この件に便乗した不審なメールや電話にも注意が必要です。
この記事は、バルテックの公式告知をもとに、分かっていることと分かっていないことを分けてまとめたものです。状況は変わるので、最新の内容は同社の「メンテナンス・障害情報」で確かめてください。この記事も、続報が出たら更新します。
何が起きたか(公式発表の要点)
バルテックは10月22日、「不正アクセスによるお客様情報流出の可能性および一部サービス停止のお知らせ」を出しました[バルテック告知]。告知に書かれている内容は次のとおりです。
- 第三者からの不正アクセスにより、同社が保有するお客様情報の流出とみなされる事実が発生したことを確認した
- そのため一部のサービスを止めて、緊急メンテナンスをしている
- 影響の範囲は調査中で、改めて報告する
- 流出の原因は「PHPの脆弱性を標的としたサイバー攻撃」
- 復旧の見込みは最短で2026年10月26日(月)中。状況により遅れる可能性がある
- 問い合わせ先は、バルテック サポートヘルプデスク(0120-863-366、平日9:00〜17:30)
時系列
同社の「メンテナンス・障害情報」に載っている告知を、日付の順に並べました。告知に時刻が書かれていないものは、日付だけを書いています。
| 日付 | 告知の内容 |
|---|---|
| 10月21日 | MOTFAXと留守録通知メールの一部で、6:00ごろから11:30ごろまでメールを送れない障害が起き、復旧したと告知。原因は「海外からの不正アクセス試行が多数発生したことによるもの」とされています[告知]。同じ日の午後には、メール送信がまた不安定になっているという続報も出ています[告知]。 |
| 10月21日 | MOT/PBX・MOT/TELの一部で、11:00ごろから電話の発着信ができない障害を告知。原因は「調査中」です[告知]。 |
| 10月22日 | クラウド系製品とPOS製品について、「サーバ緊急メンテナンスのお知らせ」を出し、サービスを停止[告知]。 |
| 10月22日 | 不正アクセスとお客様情報流出の可能性を発表(この記事の主な出典)[告知]。 |
| 10月22日 | お客様向けWebサービス(WEB請求サイト、クレジットカード登録サイト、解約申請サイト)についても、緊急メンテナンスを告知[告知]。 |
10月21日のメール障害や電話の障害が、22日に発表された不正アクセスと関係しているかどうかは、どの告知にも書かれていません。セキュリティ対策Labも、同じ攻撃によるものかは示されていないと報じています[報道:セキュリティ対策Lab]。
「PHPの脆弱性」について分かっていること
告知に書かれている原因は「PHPの脆弱性を標的としたサイバー攻撃」だけです。どの脆弱性か、CVE番号(脆弱性ごとに付く番号)、使っていたPHPのバージョン、侵入された日時は書かれていません。
前日の10月21日には、PHPの重大な脆弱性「php2shell」の修正版が公開されています。ただ、バルテックの告知はphp2shellという名前もCVE番号も挙げていません。報道でも「php2shellによるものかは特定されていない」とされています[報道:セキュリティ対策Lab]。PHPにはphp2shell以外の脆弱性もあります。続報を待ってください。
どんな情報が、何件流出したとみなされているのかも、告知には書かれていません。個人情報保護委員会への報告については、確認時点の告知に記載がありません。
止まっているサービス
不正アクセスの告知に「停止中のサービス」として載っているものです。製品全体ではなく一部の機能だけを止めているものは、その範囲を書いています。
| サービス | 止まっている範囲(告知の記載) |
|---|---|
| MOT/HG(MOT/Cloud) | サービス |
| MOT/Cloud(飲食版) | サービス |
| MOT/Cloud管理サイト | サイト |
| MOT勤怠管理 / MOT/Shift | サービス |
| MOT経費精算 / MOT文書管理 | サービス |
| MOT/SFA / MOT/Rec / MOT/Hotel | サービス |
| MOT/WEB請求書 | サービス |
| WEB予約 / 施設予約システム / 面会予約システム | サービス |
| レンタルオフィスシステム / ぱっとスル / 私のセミナー | サービス |
| ダウンロードセンター | サービス |
| 券売機 | 画像・音声ファイルのダウンロード機能 |
| BeSHOKU | 券売機用の画像アップロード機能 |
| BeSALO、BeKARTE | 資料のアップロード機能、施術履歴の施術画像の参照機能 |
| POSシステム全般 | サービス |
| FreePOS管理サイト / Project-mot管理サイト | サイト |
同じ日の「サーバ緊急メンテナンスのお知らせ」には、上の表のほかに ReTELA、POS-MART、他FreePOS も対象として載っています[告知]。お客様向けWebサービスの告知では、WEB請求サイトと解約申請サイトはログインを停止しています。クレジットカード登録サイトは、ログインはできるものの、認証コードのメールを止めているため、登録や更新の手続きができません[告知]。
クラウド電話のMOT/TELは、不正アクセスの告知の停止一覧には入っていません。
利用している会社・店舗がやること
公式の案内に従う
影響の範囲は調査中なので、まずは同社の「メンテナンス・障害情報」とヘルプデスクの案内を待ちます。自社の情報が流出に含まれるかどうかは、外からは分かりません。報道やSNSの推測ではなく、同社からの報告で判断してください。
パスワードの変更は、公式が求めたときに
確認時点の告知には、利用者にパスワードの変更を求める記載はありません。同社から変更の案内があれば、その手順に従います。ただし、同じパスワードをほかのサービスでも使い回しているなら、ほかのサービス側を別のパスワードに変えておくと安心です。
便乗した詐欺に注意する
大きな情報流出のあとは、その会社や関係者を名乗るメールや電話が増えることがあります。次のような連絡には応じず、告知に書かれた番号へ自分からかけ直して確かめてください。
- メールのリンクからログインさせて、IDやパスワードを入力させようとする
- 「復旧のため」「補償のため」と言って、カード番号や口座の情報を聞いてくる
- 告知にない電話番号やメールアドレスへの連絡を求める
バルテックの告知に載っている問い合わせ先は、サポートヘルプデスク 0120-863-366(平日9:00〜17:30)です。
止まっている業務の代わりを決める
復旧は最短で10月26日(月)中の見込みで、遅れる可能性もあります。止まっているサービスごとに、それまでのやり方を決めておきましょう。
- 勤怠管理・シフト:紙やスプレッドシートで出退勤を記録し、復旧後に入力できるようにしておく
- 経費精算・請求書:申請や発行の期限が近いものを洗い出し、社内で締め日の扱いを決める
- WEB予約・施設予約・面会予約:お客様に電話など別の受付方法を案内する。復旧前にすでに入っていた予約は、控えがあれば照合する
- POS・券売機:使えない機能を確かめ、レジ締めや売上の記録の方法を決めておく
どの機能がいつまで使えないかは、上の告知とヘルプデスクで確認してください。
続報で影響範囲が分かったら
自社がサービスに預けていた個人データが流出に含まれていた場合、自社のお客様や従業員への説明が必要になることがあります。何を、いつまでに、誰に伝えるかは、同社からの報告内容を見て判断します。個人データの漏えいへの対応は、個人情報保護委員会の案内で確かめられます。
自社サイトを持つ会社への教訓
今回の攻撃で使われた脆弱性は分かっていません。それでも、PHPで動くサービスやサイトが狙われ、実際に被害の発表が出たことは事実です。自社でPHPのWebサイト(WordPressなど)を公開している会社は、次の3つを確かめておきましょう。
1. PHPを最新の修正版にする
自社サイトのPHPのバージョンを確認し、修正版が出ていれば更新します。確認の方法は「PHPのバージョンを確かめる方法」に、php2shellの修正版については「php2shell解説」にまとめています。レンタルサーバーなら、サーバー会社の告知も見てください。
2. 公開を続けていたサイトは、入り込まれていないか確かめる
修正版を当てる前から公開していたサイトは、更新のあとに侵入の跡がないかを確かめます。見覚えのないファイルや管理者アカウントなど、見るところは「サイトが乗っ取られていないか確かめる方法」で説明しています。
3. 跡が見つかったら、順番どおりに戻す
改ざんや乗っ取りの跡が見つかった場合は、慌ててファイルを消す前に、公開を止めて証拠を残します。手順は「WordPressが乗っ取り・改ざんされたときの復旧手順」にまとめています。
国内のほかの会社の停止や被害の発表は「PHP脆弱性で停止・メンテナンス中の国内サービス一覧」で追っています。
よくある質問
自社の情報も流出したのですか?
確認時点では分かりません。告知は「影響の範囲につきましては現在調査中」としていて、どの情報が対象かは書かれていません。同社からの続報か、ヘルプデスクからの連絡を待ってください。
原因はphp2shellですか?
告知に書かれている原因は「PHPの脆弱性を標的としたサイバー攻撃」だけで、脆弱性の名前やCVE番号はありません。php2shellが原因かどうかは、確認時点では分かりません。
MOT/TELの電話は使えますか?
不正アクセスの告知の停止一覧には、MOT/TELは入っていません。10月21日にはMOT/PBX・MOT/TELの一部で発着信ができない障害が告知されていますが、原因は「調査中」で、今回の不正アクセスとの関係は書かれていません。使えない場合はヘルプデスクに問い合わせてください。
パスワードはすぐ変えたほうがいいですか?
確認時点の告知には、利用者にパスワードの変更を求める記載はありません。同社から案内が出たら、それに従ってください。同じパスワードをほかのサービスでも使っているなら、そちらは先に変えておくと安心です。
いつ復旧しますか?
告知では、最短で2026年10月26日(月)中を予定しています。状況によって遅れる可能性があるとも書かれています。
PHPのバージョンの確認や更新、公開を続けていたサイトに侵入の跡がないかの確認、見つかったときの復旧まで、状況に合わせて進め方を一緒に決めます。無料相談はこちら
参考にした情報
- バルテック「不正アクセスによるお客様情報流出の可能性および一部サービス停止のお知らせ」(2026年10月22日)
- バルテック「サーバ緊急メンテナンスのお知らせ」(10月22日) / 「サーバ緊急メンテナンスのお知らせ(お客様向けWEBサービス)」(10月22日)
- バルテック「弊社サービスサーバ障害トラブルお知らせ(復旧)」(10月21日) / メール送信障害の続報(10月21日) / MOT/PBX、MOT/TEL障害発生のお知らせ(10月21日)
- バルテック「メンテナンス・障害情報」一覧
- セキュリティ対策Lab「バルテックに不正アクセス、PHP脆弱性を狙うサイバー攻撃で顧客情報流出の可能性」(報道、10月22日)
- 個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」


