
- 日本交通株式会社の社内システムが、2026年7月11日に外部からの不正アクセス(マルウェア感染)を受けました。10月30日の第6報で、個人情報が漏えいした可能性のある人の範囲と項目が発表されました。
- 対象はタクシーの乗客ではありません。ハイヤーの客、乗務員・職員(退職者を含む)、採用の応募者(過去の応募者を含む)、従業員の家族、取引先の担当者、乗務員が関わった事故などの相手方の6つの区分です。日本交通を使ったことがない人にも通知が届くことがあります。
- 区分によっては、本人確認書類(運転免許証・在留カードなど)や顔写真、銀行口座、健康診断の結果、一部の人はマイナンバーが含まれます。
- タクシー利用客の配車・乗車の情報は対象に含まれていません。日本交通はクレジットカード情報を持っていないとしています。
- 対象の人には、該当する項目を書いた通知が書面または電子メールで順次送られています。問い合わせはコールセンター 0120-009-098(平日9時〜17時)です。
ほかの不正アクセス・情報漏えいは → 不正アクセス・情報漏えい チェッカー(サービス名で検索できます)
10月に国内で発表されたほかの不正アクセス・情報漏えいは「2026年10月の不正アクセス・情報漏えい 国内まとめ」で一覧にしています。
この記事は、日本交通株式会社が自社サイトで出した第6報(10月30日)と、それまでのお知らせ(7月13日、7月22日の第3報、8月19日の第4報、10月5日)をもとにまとめたものです。続報が出たら更新します。
「使ったことがないのに通知が来た」のはなぜか
今回漏えいした可能性があるのは、タクシーの乗客の情報ではなく、日本交通の社内システムにあった情報です。会社の中には、ハイヤーの予約の記録のほかに、社員の人事・給与の書類、採用試験の応募書類、社員の家族の扶養の手続き、取引先とのやりとり、事故の対応や保険の手続きの記録などがあります。
そのため、次のような人にも通知が届きえます。
- 以前、日本交通の乗務員や職員の採用に応募したことがある人(採用されなかった人も含む)
- 日本交通で働いている人、働いていた人の家族
- 日本交通の車が関わった事故の相手方になったことがある人
- 日本交通と取引のある会社の担当者
「タクシーに乗った覚えがないのに日本交通から手紙が来た」という場合でも、それだけで偽物とは言えません。下の「本物の通知と、なりすましの見分け方」で確かめてください。
対象の区分と、漏えいした可能性のある情報
第6報では、対象の人を6つの区分に分けて、それぞれの項目と人数を書いています。項目は「漏えいまたはそのおそれのある項目」として挙げられたものです。
| 対象 | 漏えいまたはそのおそれのある項目 | 人数 |
|---|---|---|
| ハイヤーの客(申し込みの担当者・乗車した客) | 氏名、自宅住所、会社・自宅の電話番号、携帯電話番号、FAX番号、メールアドレス | 約13,100人 |
| 日本交通の乗務員・職員(退職者を含む) | 氏名、住所、生年月日、性別、電話番号、メールアドレス、本人確認書類に関する情報(※1)、人事情報、給与などの支払いに関する情報(※1)、税・社会保障の手続きに関する情報(※2)、健康管理に関する情報(健康診断の結果など) | 約60,100人 |
| 日本交通の採用選考に応募した人(過去の応募者を含む) | 氏名、住所、生年月日、性別、電話番号、メールアドレス、学歴・職歴、応募のときに出した書類に書かれた情報(※3) | 約107,900人 |
| 日本交通の従業員の家族 | 氏名、続柄、生年月日、住所・世帯構成、扶養・各種控除の手続きに関する情報(※4) | 約37,700人 |
| 取引先の担当者 | 会社名、担当者の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、FAX番号、振込先に関する情報 | 約2,100人 |
| 日本交通の乗務員が関わった事故などの相手方 | 氏名、住所、生年月日、性別、連絡先、事故の対応・保険の手続きのために取得した情報(※5) | 約72,000人 |
第6報の注記は次のとおりです。
- ※1 運転免許証、在留カードなどに関する情報、顔写真、銀行口座に関する情報を含む場合がある
- ※2 一部の人は、個人番号(マイナンバー)を含む
- ※3 運転免許証、顔写真、銀行口座に関する情報を含む場合がある
- ※4 一部の人は、個人番号(マイナンバー)を含む
- ※5 けがの状況などを含む場合がある
項目は区分ごとに「当てはまりうるもの」を並べたもので、全員にすべての項目が当てはまるわけではない、とされています。一人ひとりに当てはまる項目は、個別の通知で知らせるとしています。
出典:[日本交通 第6報]
なお、6つの区分の人数を足すと約29万人(292,900人)になります。これはこの記事での単純な足し算です。第6報には合計の人数は書かれておらず、2つ以上の区分に当てはまる人(たとえば元応募者で、のちに乗務員になった人)がいるかどうかも書かれていません。実際の人数はこれより少ない可能性があります。
対象に含まれないもの
- タクシーを利用した客の情報(配車・乗車に関する情報)は、対象に含まれていないとされています。
- クレジットカード情報は、日本交通では持っていないとしています。
タクシーに乗っただけで、ほかの区分(ハイヤーの利用、応募、事故の相手方など)に当てはまらない人は、第6報の書き方からは対象に入らないと読めます。
本物の通知と、なりすましの見分け方
第6報に書かれている連絡の方法は、次の2つです。
- 対象の人には、該当する項目を書いた通知を書面または電子メールで順次送っている
- 問い合わせ先はコールセンター専用ダイヤル 0120-009-098(受付:平日9時〜17時。土・日・祝日を除く)
第6報には、通知メールの送信元アドレスや件名は書かれていません。そのため、アドレスだけで本物かどうかを見分けることはできません。次の点で確かめてください。
- パスワードや暗証番号を聞かれたら偽物と考える:日本交通は、電話やメールで暗証番号・パスワード・認証コードなどを尋ねることはないとしています。
- 通知に書かれた電話番号やリンクを使わず、自分で調べた番号にかける:心配なときは、日本交通のサイト(nihon-kotsu.co.jp)の第6報に載っている 0120-009-098 に自分でかけて確かめます。通知に別の番号が書かれていても、その番号にはかけません。
- お金の話が出たら止まる:第6報には、お詫びの品や補償についての記載はありません。返金、補償金、手続き料などをうたって振り込みやカード番号の入力を求める連絡は、日本交通の発表にない話です。
通知を受け取った人がやること
日本交通がお願いしていること
第6報の「二次被害の防止に関するお願い」に書かれているのは次のとおりです。現時点で、漏えいした個人情報が不正に使われるなどの二次被害は確認されていないとしています。
- 心当たりのない電話・メール・SMS・郵便物などには応じず、書かれたリンクや添付ファイルを開かない
- 日本交通が、電話やメールで暗証番号・パスワード・認証コードなどを尋ねることはない
- 暗証番号やパスワードに生年月日や電話番号を使っている場合は、変更を勧める
- 不審な連絡を受けたら、コールセンター(0120-009-098)に連絡する
一般的に気をつけたいこと(日本交通の案内ではありません)
ここから先は、個人情報が漏れたときの一般的な注意で、日本交通の指示ではありません。日本交通から案内が出たら、そちらを優先してください。
- 銀行口座の入出金を見ておく:乗務員・職員と応募者の区分では、銀行口座に関する情報を含む場合があるとされています。通帳やネットバンキングで、覚えのない入出金がないかをときどき見ます。口座番号だけで勝手にお金を引き出すことはふつうできませんが、銀行を名乗って暗証番号やワンタイムパスワードを聞き出そうとする電話やSMSには注意します。不審な動きがあれば、銀行に直接連絡します。
- 本人確認書類の悪用に気をつける:運転免許証や在留カードの情報、顔写真が含まれる場合があります。身に覚えのない契約やローンの案内、請求が届いたら、その会社に問い合わせます。
- マイナンバーについて:一部の人はマイナンバーが含まれます。マイナンバーだけで本人になりすまして手続きすることは、本人確認が必要なためふつうはできません。ただ、役所や税務署を名乗って「マイナンバーが漏れたので手続きが必要」などと言う電話や訪問、メールには注意し、その場で答えず、自分で調べた役所の窓口に確かめます。マイナンバーの変更を考える場合は、住んでいる市区町村の窓口に相談します。
- 事故の相手方だった人:事故の対応や保険の手続きの情報、けがの状況などが含まれる場合があります。事故や保険の話を持ち出して、お金を求めたり個人情報を聞いたりする連絡があったら、自分が契約している保険会社や、日本交通のコールセンターに確かめます。
これまでの経緯(時系列)
| 日付 | 発表の内容 |
|---|---|
| 7月11日(土)未明 | 社内システムが外部から不正アクセス(マルウェア感染)を受けた |
| 7月13日 | 不正アクセスとシステム停止を公表。ハイヤーWEB受注・予約管理システム、電話によるタクシー配車サービス、一部の社内向けシステムなどが一時使えない状態に。この時点では情報漏えいの事実は確認されていないとしていた。同日、陣痛タクシーのWebフォームからの登録も一時停止 |
| 7月22日(第3報) | 今回の攻撃で日本交通から流出した疑いのある情報を、インターネット上で確認したと公表。内容や影響範囲は調査中 |
| 8月19日(第4報) | 日本交通が持っていたファイルの一部が外部に流出していたことが判明したと公表 |
| 10月5日 | 外部の専門機関による診断と再発防止策の検証を経て安全性が確認できたとして、10月6日11時(予定)から電話によるタクシー配車サービスと、陣痛タクシーのWebフォームからの登録を再開すると発表 |
| 10月30日(第6報) | 外部の専門機関の調査の結果をもとに、個人情報が漏えいした可能性のある人の範囲と項目を発表。個人情報保護委員会と警察などに報告済み。対象の人には書面または電子メールで通知を送っている |
第6報では「第1報から第5報までをお知らせしてまいりました」と書かれています。この記事では、日本交通のサイトで確認できたお知らせを載せています。
第6報には、実施した対策として、侵入に使われた経路の遮断と感染した機器の停止・隔離、外部から社内システムへの接続経路の見直し、アカウントとパスワードの再設定、重要なアカウントへの多要素認証(パスワードに加えて別の方法でも本人を確かめる仕組み)の適用、監視の仕組みの導入、個人情報の保管期間のルールづくりと削除などが挙げられています。今後は、ハイヤーWEB予約システムの作り直しや、業務委託先のセキュリティ対策の確認なども進めるとしています。
侵入の経路や、どのようにマルウェアに感染したのかは、発表には書かれていません。
よくある質問
日本交通のタクシーに乗ったことがあります。対象ですか?
第6報では、タクシーを利用した客の情報(配車・乗車に関する情報)は対象に含まれていないとしています。ハイヤーの利用、採用への応募、事故の相手方など、ほかの区分に当てはまらなければ、対象ではないと読めます。
応募しただけで、採用されていません。なぜ通知が来たのですか?
採用選考に応募した人(過去の応募者を含む)約107,900人が対象の区分に入っています。応募のときに出した書類に書かれた情報が含まれ、運転免許証、顔写真、銀行口座の情報を含む場合があるとされています。
家族が日本交通で働いています。自分も対象ですか?
従業員の家族約37,700人が対象の区分に入っています。氏名、続柄、生年月日、住所・世帯構成、扶養や控除の手続きの情報で、一部の人はマイナンバーを含むとされています。自分が対象かどうかは、個別の通知かコールセンターで確かめてください。
合計で何人分が漏れたのですか?
第6報には合計人数は書かれていません。6つの区分の人数を足すと約29万人になりますが、これはこの記事の計算で、区分の重なりは考えていません。
クレジットカードは止めたほうがいいですか?
日本交通は、クレジットカード情報を持っていないとしています。念のため、明細に覚えのない請求がないかを見ておき、あればカード会社に連絡してください。
届いたメールが本物か分かりません。
第6報には送信元アドレスや件名が書かれていないため、見た目だけでは判断できません。メールの中のリンクや電話番号は使わず、日本交通のサイトに載っているコールセンター(0120-009-098)に自分でかけて確かめてください。
原因はPHPの脆弱性ですか?
発表では「外部からの不正アクセス(マルウェア感染)」とされていて、侵入の経路は書かれていません。PHPについての記述もありません。
Webセキュリティ診断センターでは、企業が運営するWebサイトやサーバーについて、更新の状況や侵入の跡がないかの確認を手伝っています。今回の件で自分の情報がどう扱われたかは、日本交通の通知とコールセンターで確かめてください。相談はこちら
参考にした情報
- 日本交通株式会社「弊社システムへの不正アクセスに関するお知らせ(第6報)」(2026年10月30日)
- 日本交通株式会社「一部サービスの復旧について」(2026年10月5日)
- 日本交通株式会社「弊社システムへの不正アクセスによるシステム停止について(第4報)」(2026年8月19日)
- 日本交通株式会社「弊社システムへの不正アクセスによるシステム停止について(第3報)」(2026年7月22日)
- 日本交通株式会社「弊社システムへの不正アクセスによるシステム停止に関するお詫びとご報告」(2026年7月13日。のちの追記を含む)
- 日本交通株式会社「システム障害に伴う入力フォームの一時停止について」(2026年7月13日)


